フランスは原発回帰。日本はどうする?
フランスのマクロン大統領が原発推進の方針を発表。現実的な選択だと思いますが、これを日本はどう捉え、自分たちはどう考えるのか。海外のニュースに敏感であることは情報弱者に陥らない為の必須要件。なぜなら海外で起こっていることは多かれ少なかれ似たような事が日本でも起きる、或いは既に起きているから。日本国内の世論だけの小さい視点で物事を考えていては情報弱者になってしまいます。
さて、フランスはなぜ原発を推進するのか。寧ろ前大統領のオランド氏は原発依存度を下げる方針を打ち出していましたが、ここで再び原発推進へと方向転換。この理由は言うまでもなく、電力の安定供給の為です。現在欧州ではエネルギー価格上昇に伴って公共料金が高騰しており、これを放置すれば大統領の支持率はどんどん落ちていくでしょう。ここには世界的な潮流である「脱炭素」というキーワードが絡んできます。
つまり「脱炭素」を掲げて地球にやさしい電力確保を進めるなら二酸化炭素排出量の多い石炭・石油は使えません。ここがスタートライン。では石炭や石油よりは二酸化炭素排出量の少ない天然ガスにしましょう、というのが今のトレンド。ところがみんなが天然ガスを欲しがるので天然ガスの値段が急上昇。電力会社は天然ガス購入の為に高いコストをかけて、それで発電するので当然元を取るためには利用者の電力料金を値上げします。イマココ、という感じでしょうか。
ちなみに、もちろん石油や石炭の火力発電も減ってはいても存在していますが、これらのエネルギー価格も上昇しています。これには色々な説明があると思いますが、一つの説明としては30年後に意味をなさなくなる資源の採掘に対する投資が減っているという事かと。例えば石油会社が将来無価値になる石油を掘る為に高額な投資をして油田を建設して高額な採掘機械を買いそろえるかどうかという話です。設備が古くなっても投資による機械の新設やメンテナンスがされないのであれば採掘量は減少しますよね。
太陽光発電や風力発電で賄えれば理想的ですし、30年後くらいにはそうなるかもしれませんが、現時点ではそういったエコ系の発電設備は人類の必要とする電力を賄うレベルには遠く及びません。では、今日明日必要な電力を日々どうやって供給していくのか。
さてここで問題です。あなたは以下のどれを選びたいですか?
①脱炭素とか知らん。地球温暖化で海面上昇しても良いから石油・石炭使って安く発電して
②ガスが上がったらその分電力料金を上げていいよ。ガス価格が10倍なら電気代10倍払うよ
③脱炭素を徐々に進めながら足りない部分は当面は原子力発電でカバーしよう
④みんなでスマホもテレビもエアコンも照明も使うのやめて必要電力を劇的に下げよう
①②③④どれにしたいかは人それぞれ。日本という国が将来どの道を行くかは選挙で多数決で決めれば良い事。でも良いとこ取りは不可能なんですよ。今回のフランスの選択は③ですね。①も④も現実的ではなく、②の状況になりつつある中、大統領として③を決断。日本ではこの間の選挙で脱原発をスローガンに掲げた政党が多くありましたが、政治家が即時原発ゼロを主張するなら逆に有権者側は①②④のどれなのかを政治家に尋ねなければいけません。脱原発、脱炭素、電気料金は上がりません、何なら消費税も下げます、と言っている政治家がいたとしたらそれは100%嘘の話。「情報弱者の有権者に聞こえの良いフレーズを全部同時に並べて1票でも騙し取れればラッキー」と思っているだけです。同時には並べられないんですよ、それ。海外のニュースにアンテナを張っていればこういう事が自然にわかるようになります。嘘つきの政治家に騙されないように気を付けたいですね。